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薩摩焼 藪明山 人物花文洋茶碗

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千葉県我孫子市台田4-11-42 敬誠北柏ビル

薩摩焼

薩摩焼 藪明山 人物花文洋茶碗

薩摩焼(銘:藪明山)が海外向けに作陶した人物花文洋茶碗です。薩摩焼は明治時代に欧米で「極東の宝石」と評され、日本の陶磁器の人気に火を付けました。陶磁器を有望な輸出品として認識した政府は、様々な政策を講じて輸出の後押しをした結果、日本各地で作陶され様々な発展を遂げていきました。

藪明山[ 初代:1853-1934年 、 2代:1868-1941年 ]
藪明山は画家・藪張水(1814-1867)の次男として大阪・長堀に生まれ、7歳から成人まで淡路島で過ごしました。
1880年に東京に出て陶画を研習して大阪に戻り、北区中之島に薩摩焼描画場を設立しました。素地は苗代川の沈壽官窯や京都・粟田口より白生地を購入し、絵付けを行い京都の山中商会、神戸の外国人貿易商に販売され、大阪薩摩(明山薩摩)と呼ばれています。藪明山は絵付けに専念していた為に細密で高品質な作品に定評があり、世界各国で人気を博しました。当時の名刺にも「PAINTER OF THE FINEST SATSUMA PORCELAIN」と記載があり絵師としてのプライドが感じられます。1893年に米国で刊行された雑誌「Clay Record」に「薩摩焼の絵付けに関しては、藪明山が日本一の作家であることは間違いない」との記述もあります。小さな作品が多い為、藪明山自身もトランクに作品を入れて欧米諸国で販売していたとも言われています。

< 海外万博の主な受賞歴 >
1889年:パリ万博  1893年:シカゴ万博  1900年:パリ万博  1904年:セントルイス万博
1905年:リエージュ万博

< 国内の主な受賞歴 >
1885年:第14回京都博覧会  1890年:第3回内国勧業博覧会  1895年:第4回内国勧業博覧会
1903年:第5回内国勧業博覧会  1909年:第6回全国製産品博覧会


薩摩焼 藪明山 人物花文洋茶碗
  • 名称  薩摩焼 人物花文洋茶碗
  • 裏印  藪明山
  • 状態  カケ・ワレ・ヒビなどなく良好な状態
  • 寸法  カップ H:5cm L:9cm W:11cm  ソーサー D:13.5cm
  • 素材  陶磁器
  • 原産  日本
  • 仕入  オーストラリア
  • 付属  作品証明書
  • 数量  現品のみ
  • 価格  売切【 u6579 】

薩摩焼の裏印・刻印の参考資料はこちら >>

薩摩焼は今から約400年前、島津義弘が朝鮮出兵(文禄・慶長の役)から引き揚げる際に、産業振興の為に朝鮮陶工を連れ帰ったことが始まりとされています。その後、朝鮮陶工の装飾技法に日本伝統の技法を取り入れて独自の発展を遂げ、現在に至るまで脈々とその命を育み続けています。
その後、江戸幕府の滅亡による社会的動乱は陶磁器業界にも大きな影響を与えました。天皇が居住し文化の中心地であった京都は幕末の戦火により街が焼かれ、遷都によって天皇、公卿、商人は東京へ移っていきました。さらに明治維新によって従来の購入者であった大名や公卿等がいなくなり、庇護を失った御用窯は廃窯を余儀なくされます。加えて同業組合の解散も重なり、陶磁器の製造者は大打撃を受け「都のやきもの」という京焼ブランドも失墜してしまいました。従来の制度は撤廃されましたが、明治政府の殖産興業の推奨により各陶工たちは次第に他地域への移動や窯業への新規参入などを行い再び陶磁器の製造が活発になっていきました。そして新たな販売先として注目されたのが「海外」でした。なかでもイギリス、フランスを中心としたヨーロッパへの販売に力を入れていきます。きっかけは1867年のパリ万博でした。薩摩藩が薩摩焼を出品したところ「極東の宝石」と評され、日本の陶磁器の人気に火が付き、以後の輸出向け陶磁器の製造の呼び水となりました。
陶磁器を有望な輸出品として認識した政府は、様々な政策を講じて輸出の後押しをしました。以降、薩摩焼は京薩摩(錦光山、帯山等)、大阪薩摩(藪明山)、神戸薩摩(司山、精巧山等)、東京薩摩(陶博園)、横浜薩摩(服部、保土田等)など日本各地で作陶され様々な発展を遂げていきました。
なぜ薩摩焼はこれほどまでに発展し、欧米諸国から求められたのでしょうか。その人気の理由は何と言ってもその細密さにあります。薩摩焼は世界で最も細密な絵付けが施された陶磁器だと言われています。当時の絵付け職人たちの技術は群を抜いて高く、肉眼では見えないほどの絵付けの作品も存在しています。欧米人が作品を購入しに工房に来ると、ルーペを持たせて作品を見せていたという逸話も残っているほどです。特に大名行列図や祭図などは圧巻の細かさの作品が多く、そこに描かれる人物図はわずか1~2㎝ほどの小ささであるにも関わらず顔の表情や衣装の模様にいたるまで見事に描き分けられています。ご鑑賞の際にはぜひ、薩摩焼がいかにして発展していったのかというところも含め、細密画の世界をお楽しみいただければ幸いです。


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