外国商社の1つで、1840年代に創業者のアシュレー・アブラハム・ヴァンタイン(Ashley Abraham Van Tine)がアメリカ・サンフランシスコで始めた会社です。中国や日本から工芸品などを輸入した商品をニューヨークで販売していました。トルコ絨毯も手掛けるようになり、その方面ではニューヨークで名の知れた業者となりました。日本におけるヴァンタイン商会のビジネスは、1892年頃に名古屋に出張所を設け、1894年頃には転写紙を、後にはラスターも輸入するなど積極的に新技法を取り入れながら、白壁町に生地の見本釜を作ったのが始まりになります。
その後、1908年頃には、名古屋市東区の東芳野町へと移転し、金盛りを中心とした作品を製造しました。特に注目されるのは、この会社がコラレンという磁胎にビーズを貼り付けた輸出磁器をアメリカ向けに輸出していた点です。ヴァンタイン商会の日米貿易は1920年頃まで続いていたようですが、創業者が没して1951年頃に終わりを迎えたようです。日本から撤退の理由はヴァンタインの死後、極東貿易の縮小と伝統的な日本の花鳥画に固執するあまり、米国の市場動向を把握することに遅れを取ってしまった事です。